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2020年6月

2020年6月14日 (日)

空師をアップ

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 ホームページの山里の記憶コーナーに「空師」をアップした。6月2日に急遽取材したもので、本来なら県越境は自粛しなければいけない時期だったのだが、この日しか秩父での作業がないとのことで取材したもの。取材した田村勝義さんは伐採のスペシャリストで一年先まで仕事が埋まっており、仕事場は関東一円に広がっている。秩父の本なので秩父で仕事をするときに取材したいと伝えておいたら、いきなり前日に電話がかかってきて「明日やるから・・」という急展開だった。
 

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 前日に十本ほどの杉を切り倒したという。今日は残りの七本を倒し、最後に電話線と電線近くに立っている大きな杉を空師の技で伐り倒すとのこと。電線にかからないように倒すにはそれしかないからだ。初めて空師の技を見ることができるとワクワクした。
 作業は実に順調に進んだ。田村さんと助っ人二人の阿吽の呼吸であっという間に杉が倒されて解体されて行く。まさにプロの技を見させてもらった。自分でやったら大汗をかく仕事量だが、田村さんは涼しい顔でチェーンソーを操っている。すごい体力と腕力だ。とても76歳とは思えない。

 

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 最後に残った杉の大木に田村さんが登る。十キロ以上ある空師のフル装備を身につけて。ラダーから幹に移り、垂直に登って行くその姿が枝に見え隠れする。田村さんはそれらの枝を切りながら登って行く。二本の安全帯のロープを巧みに使い分けて枝を交わす技は安定していて素晴らしい。枝を切る時に足場分を残して切り、登るのに利用する。
 つつつと登っていた田村さんの動きが止まった。見ていると二本のロープで体を安定させた。チェーンソーの音が響いたと思ったら、いきなりトップ五メートルほどが切り倒されて落ちてきた。木のてっぺんに田村さんの姿が浮かび上がる。これが空師の技だ。
 

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 その後、三メートルほど降りて、今度は幹を切り落とした。地上10メートルの高さだ。近くにある電話線や電線に絶対にかからないように配慮して落とす位置を決めている。鮮やかなものだった。
 懸垂下降で地上に降り立った田村さんは涼しい顔をしている。空師の仕事ぶりを間近で見たのは初めてだったので感動した。自分でも伐採を何年もやってきたが、これほど鮮やかな伐採と高所作業は見たことがない。冷静で的確な動作が素晴らしかった。淡々とした話ぶりも名人らしさを醸し出し、とてもいい気持ちになった取材だった。

 

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