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2019年7月31日 (水)

「九十八歳の道のり」をアップ

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 ホームページの山里の記憶コーナーに「九十八歳の道のり」をアップした。取材した若林金一さんはとても九十八歳とは思えない記憶力と軽妙な話ぶりで楽しい取材ができた。その話の内容は楽しい事ばかりだった。奉公人時代の密かな楽しみ。出征してからも現地の人々との交流の話。終戦になってからの部隊での暮らしぶりも、鶏を密かに食べた話やナマズを釣って食べた話など。そして上海で陳中将に招かれて自宅で服を作った話や一等兵だったのに少尉の軍服を着て上海の街を歩いた話などなど。極め付きは秩父宮妃殿下との菊花を通じた交流の話。
 

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 聞いた話だけでも文章を書く事は出来たのだが、今回はそうしなかった。たまたま金一さんが自費出版した本があった。金一さんの歌集「共に老いゆく」という本だった。
 本を読んでいて取材ではわからなかった金一さんの人生を知った。この本のあとがきに自身の歩んで来た道が書かれていた。九死に一生を得た北支での軍隊生活。その厳しくつらかった事。三十歳で発病した結核との長い戦いの末に六十六歳で片肺を切除した事。看病する奥さんへのせつない思いなどが短歌で綴られていた。
 取材では全く聞けなかったことがたくさん綴られていた。短い時間の取材では避けられないことだが、話を聞くだけでは一面しか知ることができない。今回はこの歌集の存在が内容を深めてくれた。
 

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 どちらも本当の金一さんなのだと思う。そして何より心に響いたのは、山あり谷ありの人生だったはずなのに、大きな谷間もあった人生だったはずなのに、「いい時に生まれて、いい人生だったよ・・」という言葉が何の誇張もなくさらりと出てきた事だった。
 こんな大変なことがあったんだよとか、こんな辛い人生だったんだよとか、つい話したくなるのが人の性だと思うのだが、金一さんは逆だった。前向きな人が語る前向きな話の影に、こんな深い物語が隠れている。今回の取材で得た一番の収穫だった。

 

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